2年間の積もる話は30秒で話せたりする

最後に会ったのが2006年の1月、という人と恵比寿で会った。ばったり会ったのではなく、最近やりとりしたのをきっかけに待ち合わせして。お互い音楽・テクノ・クラブ好きなので、代官山UNITに行く流れに。現地に到着したのは2時前ぐらい。中にラウンジがあった。おお、こんなのあるのか、後でここでゆっくり話をしたいなと思った。

実は俺は正直クラブに行きたくなかった。2年間の間の積もる話をゆっくりしたかったから。今思うと、この言い方から分かる通り、話をしたい、聞いて欲しいという気持ちが強かったんだと思う。

クラブに着いて乾杯をし、お互いそれぞれフロアで踊る。UNITは初めてだった。キレイなクラブだった。そうそう。入ってすぐに、KAGAMIによる、「spastik」と「minus orange」(両方ともRichie HawtinのTrack)のMIXというかつなぎ?あれリアルでMIXしてるのかそういうREMIXがあるか分からないが、俺的にあの入れ方は発見だった、いつか使おう。


時間を気にしながら(もちろん楽しく)踊っていた俺は腹が減って「パスタ食いたい!」と頭に浮かんだこともあり、「パスタ食いませんか?」とラウンジに誘った。時刻はもう4時前だった。俺は話もしたいんだ。そんな気持ちでラウンジの席につき、じゃあ積もる話を少しずつ、どんな感じでしていこうかなと思っていたときにその人から言われたセリフが、

「結構酔っぱらってるので、30秒で話してください」

え…。

どこのプレジデントだよ*1と思った。いやいやその人は俺の2歳年上で、大阪で仕事をしていた時に大変お世話になった人で人生の先輩で、今はもうお互い仕事のしがらみもないからお互いタメ口で話しましょうよ、とタメ口でなく言われたがこの日も結局最後までお互い普通なタメ口で会話できてませんでしたね…。

もちろん俺はその言葉に、素直に話を上手くまとめて簡潔(なつもり)に話し終え、

「15秒ぐらいだったすかね?」と聞いたら、

「いや45秒ぐらいありましたよ。眠かったです」

…うん。ここはもちろん笑いどころであり、久しぶりに会っても仲の良さが分かる会話だよね。*2

その会話から始まり、色々な話をした。ラウンジで会話していたのは多分1時間ぐらいだったと思う。俺が自分のペースで聞いてもらいたいことを話していたら、それだけで終わっていたかもしれない1時間。

途中、

「あれ?積もる話ってもう終わりましたっけ?」

「だってさっき30秒で話せって言ったじゃないすか」

「ああ。結構30秒で話せるもんですねぇ」

結構話せるもんだ。大体、俺の話したかったことは順を追って話すべき相談でもなく、ここ2年間の出来事は当然色々あるが、それらから考えさせられた自分は自分で現時点の結論をこう出したんだ、という内容だった。そんなこと、過程と大事なポイントと結論とその理由だけ話せればOKだよな。確かに30秒で話せる。

そのおかげで、昨日会う前に自分が想像していた会話とか場のイメージとは良い意味で全く違い、(自分としては)予想外の事も聞けたりしてとても良い時間だった。次に会うときからこそ、タメ口で話そう。でも自分から「おー久しぶり!元気だった?」とか一言目で言えそうにないので、是非先にそのセリフを先に言ってください。そしたら「元気元気!」って言いますから。言うから。


「30秒で話して」は相談ごとを聞く時には言うべきでないセリフだと思うが、結論が出てる会話をダラダラされそうな雰囲気の時は使えるセリフだな。良い意味で捉えたよ俺は。昔話じゃなくて今の会話をしようよ、って持って行くことができたからこそ素晴らしい。でも俺このセリフ言える相手いるかなぁ。弟ぐらいじゃないか。

弟(関西弁)「おーおー久しぶりやん。俺めっちゃ聞いてほしいことあんねんけど」
俺(標準語)「なに?30秒で言ってみて」

うん、これは言えそうだ。

*1:映画:フィフスエレメントの黒人大統領が浮かんだ

*2:やはり45秒もなかったはずと今も思う