ジェフ・ホーキンス『考える脳 考えるコンピューター』
- 作者: ジェフ・ホーキンス,サンドラ・ブレイクスリー,伊藤文英
- 出版社/メーカー: ランダムハウス講談社
- 発売日: 2005/03/24
- メディア: 単行本
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この本は前書きに「以下の質問に答える」形で進めると書かれてあった。最初にこういうことが分かると後がすごく読みやすい。(同時期に読んでいた『人は意外に合理的』とは大違いだ。)
- コンピューターは知能を持つことができるか?
- ニューラルネットワークは知能を備えた機械に発展しないのか?
- 脳がどのように働くかを解明することは、なぜそれほど難しかったのか?
- 振る舞いで定義されないなら、いったい知能とは何なのか?
- 脳は実際にどのように働くのか?
- 新しい理論によって、次に何が分かるのか?
- 知能を備えた機械をつくることは可能か?その用途は?
(まえがき p.14)
知能とは予測する能力
脳は記憶にもとづくモデルを使い、将来の出来事を絶え間なく予測する。未来を予測する能力こそが知能の本質だ。(p.14)
まったく同じか類似した状況に置かれると、記憶が呼び戻され、つぎに起こりそうな出来事が予測される。つまり、感覚の入力を予測する記憶システムとして、知能と知識は発生した。予測できることが、理解の本質だ。何かを知っているということは、それについて予測が立てられることを意味している。(p.117)
記憶からの予測と、計算による予測は違う。飛んできたボールを受け取るとき、人は普通、飛んでくるスピードと落ちてくる角度を計算して受け取るのではない。似たような記憶のイメージからボールが来る場所に手を向ける。そう言われてみればそうだ。
ボールを受け取った手はその瞬間「パシッ」と音を立てることも知っている。音を立てだろうことを意識していなくても、脳は記憶から予測している。もしここでボールが音を立てなかったら、何が起こったのかと疑問が沸くだろう。手にボールを受けた感触がなかったことと合わせて、「ボールを受け損なった」と知るかもしれない。
創造性とは予測から
記憶から予測が立てられることから創造的な活動が生まれる。計算して出てくるのはその計算の答えであって、予測ではない。手当たり次第計算するしかないのは今のコンピューターだ。人は予測した後に計算するものだ。ある方程式から解を求められる数式を解くときに、この方程式がふさわしいのじゃないか、と過去の記憶から予測することは、創造的な活動と言える。そうして知識を得て、その知識(記憶)を活かし新たな創造をしていく。
何を学習するかは、人生で何を経験するかだけによって決まる。(p.205)
図書館に返すがまた読みたい。